スピードと回転量が両立した安定したショットを打つためは、ラケットのスイングスピードを上げる必要がある。ここでは、ラケットが加速する原理を解説する。
体重移動によるラケットの加速
体重移動を使うと、単純にラケットの速度に体が移動する速度が加わる。
腕だけでラケットを振ったときの、ラケットの速度を、$\bf{v_{a}}$とする。体重移動の速度を$\bf{v_{b}}$とすると、同じ条件で体重移動をしながら腕を振った時のラケットの速度$\bf{v_{r}}$は、
\[\bf{v_{r}}=\bf{v_{a}}+\bf{v_{b}}\]
となる。
体重移動による加速は、後述する運動連鎖によるものほど大きくはないが、ラケット面を安定させたまま速度を足すことができるため、ショットの安定性を高く保ったままスイングスピードを高めることができる。
例えばボレーでは、ネットに近い位置で速いボールを処理する必要があるため、ラケット面の安定性が重要になる。そのため、なるべく体重移動をしっかり使ってボールを打つことが重要である。
式(1)より、$\bf{v_{r}}$の大きさは、$\bf{v_{a}}$と$\bf{v_{b}}$が並行の時最大となる。そのため、速いボールを打つという観点では、ラケットを振る方向に合わせて体重移動を行うことが重要である。熟練者は、ボレーでラケットを上から下へ振っている。このスイング方向に合わせて、身体を沈み込ませるような体重移動をしていると考えられる。